認知症から見る世界。
有吉クイズで、蛭子能収さんと有吉弘行さんが絵を描くという企画。
蛭子能収さんは認知症を発症してお仕事をお休みしているそうで、バラエティの戦友だった有吉弘行さんが番組企画でちょくちょく共演しています。
今回は、2人で大きなキャンバスに絵を描くだけの企画。
描き込んでいるうちに顔は凛々しくなり、元マンガ家の技術がペンを滑らす毎に戻ってくる瞬間に立ち会った気がしました。
でもそれはどこか普通の絵ではありませんでした。
人の顔をしているのに、胴体があるところには左足。そこから別のローラーが出てくる。富士山は逆さま。何もないところに目がいっぱい。
それはどこか不思議な世界。
有吉弘行さんが色塗りを担当し、蛭子能収さんの絵を奇妙にしないように、でも色彩はカラフルに塗りあげた。
私が凄いなと思ったのが、
有吉弘行さんは1度も奇抜的な蛭子能収の絵に質問をしなかった。
普通、顔の下に足を描いたら変だと思うし、富士山が逆さまだったら間違っていると指摘してしまうでしょう。
「いいね!いいね!ピカソみたいに芸術的で俺は好きだな」
決して否定をしませんでした。
通常の感覚を持っている人にとって、とても難しい事です。でも認知症の世界で生きる相手にとってはそれはとても重要な事。
自分を否定される感覚なんだそうです。
全てを受け入れ、素晴らしいと誉める。
愛する家族、親しい仲間が、
記憶を段々と失くし、幼くなってくる。
その事実を受け入れなくてはいけないとわかっていながら、それは忘れられ取り残されていく者にとってはあまりにも厳しく辛い事。
認知症の人が見ている世界。それを私たちも理解し共有する。それができるようになる日はくるのでしょうか。
では、次回。